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伊勢神宮 式年遷宮遷御の儀 奉拝記
平成25年10月1日。この日から6日まで、

伊勢神宮の内宮と外宮で

式年遷宮のクライマックスである

遷宮祭(川原大祓 遷御の儀 奉幣の儀)が

執り行なわれました。


私は、旧職員として奉仕すべく、

伊勢に向いました。

なつかしい仲間たちとの再会。

そして、二十年前に奉仕した

ご遷宮の体験を思い起こしつつ、


再びお仕えできるよろこびと、

重責を担う緊張感につつまれた

充実した六日間でした。




特に、10月2日の内宮、遷御の儀は、

ご正宮、板垣内の奉拝席で

貴賓係の一員として

奉拝することが出来ました。



午後6時頃、夕闇につつまれた

奉拝席に着席。

ここでは、誰ひとり私語を言う

人がなく、暗闇の中で

御垣内に焚かれた庭燎の

明かりだけが ぼんやりと

浮かんで見えていました。

コオロギなどの秋虫の鳴き声と

時折、シカやムササビの

声が聞こえてくる静寂の中、

わたしは、疲れた身体を

椅子にもてれかけさせていました。



やがて、遙か遠くから太鼓の音が

こだまして聞こえてきました。

これは、祭員が参進したことを

知らせる合図で、

やがて、浅沓(あさぐつ)が

玉砂利を踏みしめる

「ザッ 
ザッ ザッ」

という
音がこだまして聞こえて

きました。

   いよいよはじまった。

行列の音は玉串行事所あたりで

止まり、行事の間、玉砂利を

踏む足音だけが

かすかに聞こえてきます。



ずいぶんと時が流れたように

思いました。

やがて、浅沓で石段を上がる

「カターン 
カターン」という音。
 
ようやく諸員が両手に太玉串をもち、

威儀を正して参入してきます。

私たちはそれを起立、低頭して迎えました。



つづいて、御垣内で玉串行事。

しかし、暗くてよく見えません。



やがて諸員は内院へと参入してゆきました。



奉拝席はただただ沈黙、全くの暗闇と

静寂でした。

 ふと、気がつくと強い風が吹ています。

奉拝席にわずかに吹き込むのですが、

強い風は上空を舞っています。


見上げると
鬱蒼とした神杉が

ザーッ ザーと音をたてて

ゆっくりと大きく揺れています。


ふと、時計に目をやると時刻は7時20分。

ここに座ってから、一時間半も経過しています。


そして、この大風、台風の影響かと

思いかけましたが、

   いや、これは違う・・・ 

急に大祓詞(おおはらえのことば)の一節が

頭に浮かびました。


 「事問いし、磐根樹根立(いわねきねたち)

  草の片葉(かきは)をも語(こと)止めて、

  天(あめ)の磐座(いわくら)放ち、

  天の八重雲(やえくも)を

  伊頭(いず)の千別(ちわ)きに千別きて、

  天降(あまくだ)し依さし奉りき」


神話にある天孫降臨(てんそんこうりん)

の一節です。

  八咫御鏡(やたのみかがみ)を奉じた神々が、

  いよいよ この国に降臨するとき、
 
  ざわついていた草や木も 

  ついに静かに息をひそめ

  そのときを待った  

そんな情景をあらわしています。



この時刻は、まさに正殿の御扉が開け放たれ、

遷御の御列を整えるため、召し立ての真っ最中。

午後8時の出御をひかえた、

緊張の高まる時刻です。

   
 ひょっとすると今吹き荒れているこの風は

   出御の頃には止むのかも知れない・・・。

 
そんなことを考えながら、

風の音を聞いていました。


それからどれくらい時間が経ったのか、

気がつくと、風がすっかり止み、

あたりは再び、虫の声だけがひびく

元の静寂の闇に戻っていました。


すると、しばらくして

 「カケコー 
カケコー」と

鶏鳴三声が 聞こえてきました。

甲高いまさに 朝の鶏の第一声を

思わせる声です。

そして、神楽歌(かぐらうた)と雅楽の調べが

聞こえはじめました。


  いよいよ出御したのだ。


やがて御列が姿を現しました。


いつのまにか内玉垣南御門をくぐって、

前陣の列が 松明の明かりを先頭に

ゆっくりと進んでいます。


 時折「オー、オー」と

警蹕(けいひつ)の声が聞こえてきます。


私たちは起立、低頭して、

絹で覆われた御列が 

ゆっくりと通り過ぎるのを見送りました。



 感動が お腹の底からこみ上げてきました。



まるで、天の岩戸開きの神話の世界に

 ここにいる全員がタイムスリップでもして、

     迷い込んだような気分です。


常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)を鳴かせて、

賑やかに神楽歌を奏でる。


そして大御神が再び姿を現し、

          世界は明るさを取り戻す。



あの天の岩屋戸の神話の世界を再現し、

  遷御の儀を行う。

今から1300年ものむかしの宮人たちが

この儀式を考え、天皇の勅裁をうけ

最初の御遷宮を果たしたのです。



そして1300年もの時を経た

現代においても

その儀式は忠実に営まれ、

私たちは、神代の時代に誘われ、

いま それを目の当たりにしている。

 たずさわっているのは、今の人たち。

 みな、私の知る人ばかりである。

だけれども、これを見せてくれているのは、

1300年前に活躍した宮人たちなんだ。


そう思うと、太古の日本人と、

      つながれたような気持ち。


遠い 遠い 祖先の霊と一体になれたかの

ような気がして、



  なんとすごいことなんだろう。



これが、日本民族のすばらしさなんだ。

こんなことを大切に守り伝えることの出来る

民族は世界 広しと言えでも、日本人しかいない。


 日本人だからこそ、守りつたえる事が

           出来たできたのだ。


そのことに気がつくと、体が震え、

感動がこみ上げてきました。

雅楽の調べと、

時折 身震いする程威厳のこもった


警蹕の声を聞きながら、

目頭があつくなりました。


御列を最後まで見送り、私たちも 

その後ろに続きました。

石階を降りると、報道のカメラと、

大勢の奉拝者が目に入りました。

皆立って御列を見送っています。

その前を私たちも進みました。



新宮に着き、板垣内の

奉拝席に座わりました。

相変わらずの 虫の声と静寂。

ご神体と共に、ご神宝類が正殿に

納められるまでしばらく時間が

かかるはずです。


ずいぶん経ってから、御扉が閉まる

際の雅楽の調べが聞こえてきました。


いつの頃からか、また風が吹いています。


  とうとう入御したのだ。


全ての儀式が終わるまで、ふたたび、じっと

していました。


諸員が退下したのが、9時20分頃だったと

思います。

約三時間半、庭燎の薄明かりだけがたよりの

暗闇の中で じっと、誰とも話すこともなく

奉拝していました。


今思うと、とても長い時間でしたが、

大御神さまの神気にふれることができた、

貴重な体験でした。


前回の遷御の儀では、

かすかな微風が

新宮にむけて吹いており、

入御したら、今度は新宮から外に向って

かすかな微風が吹いていたという

奉仕体験談を聞いたことがあります。


今回は、騒がしい程、上空で吹き荒れてた

風が止んで出御を迎えた。


また、後日に参道沿いで奉拝していた人たちから

遷御の列と共に、一陣の風が

吹き抜け、とても感動したという話しを聞きました。



  「神風の伊勢の国」

     神風は伊勢の枕詞です。



二十年に一度、遷御の儀では

  大御神さまを迎えるときに、

  天の岩屋戸開きの神話を

  再現する儀式を行う。


そしてまた、神聖な八咫の鏡が

私たちの前に現れるとき、

天孫降臨の神話さながら、

このような、不思議な現象がおこるなんて・・・。


遷御の儀のすばらしさを本当に実感する

貴重な体験でした。


自分はとても幸わせ者であり、

このことのすばらしさを世に伝える使命を

与えられたような

そんな気がしています。

 
author:伊勢部柿本神社, category:神社めぐり, 18:22
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